祝 国宝指定 本殿 幣殿 拝殿
社殿の概要
現在の社殿は正徳5年(1715)に島津吉貴公によって復興されたものであります。勅使殿から登廊下を介し、拝殿、幣殿を経て、最も高い位置に本殿を構えます。急勾配の階段で段差をつけて高低差を表現する躍動感あふれた構成をもちます。
本殿は正面が5間、奥行き4間の入母屋造り銅板葺きで、千木と堅魚木が5組屋根にのっています。内部は外陣と内陣さらに後部にも部屋があり、長押上の小壁には琴棋書画(琴を弾き、棋を囲み、書画を楽しむ)と廻りの3面には二十四孝(後世の人々の模範として親孝行に特に優れた24人の説話)の絵画が施されています。外陣の欄間には唐獅子や奏楽天女の彫刻が施され、正面の龍柱は、両側に象鼻、牡丹の彫刻と瑞雲に龍が彫られ、右側の龍が口を開き、口を閉じた左の龍が玉を持って、いわゆる阿吽の形になっています。
中央の蟇股には麒麟の彫刻が施されて、すべてを極彩色として、また本殿の柱には金襴巻や主要部には金箔押しと飾り金具で全体を華やかに装飾しています。
当神宮の本殿、幣殿、拝殿、登廊下などの主要な建物は造営当初の特色ある境内の構造がよく維持されていて、建物の質も良く、丸彫り彫刻や絵画で装飾され、漆塗りに極彩色と朱塗りで仕上げられ豪華な仕様となっています。特に本殿の規模が大きく、見えない内陣までも華麗に装うなど、神社の本殿として全国的にも屈指のものであります。
また、正面向拝の龍柱の彫刻は薩摩藩独自の地方色が見られる点が注目されて、南九州の社寺建築を代表する建築群として非常に価値が高い建造物としてこのたび国宝に指定されました。